ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第121回 車いすテニス 上地結衣③

2018年06月17日 放送

車いすテニス 上地結衣。
世界ランキング1位に返り咲き、復活と飛躍をみせた去年。
グランドスラム4大大会の3つを制覇。

福岡県の筑豊地方。
先月、ここで世界四大大会に次ぐ、車いすテニスの大会が開かれた。
今年で34回目を迎えた、ジャパンオープン。世界のトップ選手が集結し、優勝争いに火花を散らす。
日本のエース、上地結衣選手は世界ランキングは堂々の1位。
去年はグランドスラム4大大会のうち、なんと3大会で優勝。年間グランドスラム達成まであとひとつという、素晴らしい結果を残した。
ジャパンオープンでは5連覇中。目指すは前人未到の6連覇。
そんな彼女のストロングポイントは『試合をコントロールする力』
上地「相手の嫌なことをどれだけできるかと思うので・・・(理想は)誰にも負けないテニスですね」
2年前。そのストロングポイントを強化するため、取り組んでいたのがバックハンドのトップスピン。切るように打ち、逆回転をかけるスライス。低い弾道でブレーキがかかるため、相手にとっては前のほうにボールが落ちる。そのため、前に出るか低い打点で返す必要がある。
一方、強い順回転をかけるトップスピンは高い弾道で大きく弾み、後ろにボールが落ちる。相手は後ろに下がるか、高い打点で返さなければならない。
この異なる2つのショットを駆使し、相手を翻弄するのが上地選手の狙い。
実は、車いすの女子でバックハンドのトップスピンで勝負できる選手はほとんどいないんだとか。
上地「どうしていくのかわからなくてワンテンポ遅れる、動きが遅れるという状態にできたら一番いい。バックのトップスピンを打つことでより試合をコントロールしていくことができるのかなと思います」
確実に決められるよう何万球も打ち込み、厳しい練習を重ねた上地選手。
しかし、確かな自信を得られないまま、リオパラリンピックを迎え、結果は銅メダルに終わった。

ジャパンオープン。
24歳の上地結衣選手が挑む、グランドスラムに次ぐ世界大会。
6連覇を狙う若き世界女王は圧倒的な強さで勝ち進み、順調に準決勝へ。
対戦相手は、タイのサコーン・カンタシット選手。4年前のアジアパラ大会では上地選手を破り、優勝した選手。

健常者とまったく同じコートで行われる車いすテニス。ネットの高さも同じ。
ルールで大きく異なるのは返球が2バウンドまで許されていること。

第1セット。1対1のタイスコアで迎えた第3ゲーム。
強烈なバックハンドのトップスピンで下がったカンタシット選手。その動きを読んで、逆サイドに決めた。結果、一方的な展開で勝利。
試合をコントロールする力が、さらに進化を遂げた上地選手。
2年前はまだ確立していなかったバックハンドのトップスピン。
試合では打ちやすいスライスを選択する場面が多くみられたが…
現在の上地選手はトップスピンで攻めることが明らかに増えている。
1試合当たりのバックハンドの内訳をデータで検証すると…2年前よりトップスピン系が多くなり、得意のスライス系を逆転していた。
そして迎えた決勝。
相手はドイツのエラーブロック選手。上地選手にとっては、因縁のライバル。
第1ゲーム、フィフティーンオールの場面。
長いラリーを制したのは上地選手。
フォアの強烈なトップスピンにエラーブロック選手は当てるのが精一杯。対する上地選手は、チャンスボールをきっちり決めた。
続く第2セットも、上地選手が有利に試合を進める。
ゲームカウント3対1。ここで、追い詰められたエラーブロック選手が起死回生の一手に出る。意表をつく、ドロップショット。上地選手、懸命にくらいつくも、長いラリーを制したのはエラーブロック選手。
そして、ゲームカウント4対4。お互い絶対に落とせないゲーム。
なんと上地選手が、お返しのドロップショット。エラーブロック選手のお株を奪う頭脳プレー。そしてついに、マッチポイント。
最後は、エラーブロック選手のダブルフォルトで上地選手の優勝が決定。
そして見事、6連覇達成。
地道な努力を重ね、確実に成長を遂げている24歳。現在の目標は?
上地「一番、いま大会として焦点を置いているのは、今年の10月にあるアジアパラ大会でのタイトル。2020年の東京パラリンピックの出場権を(早い時期に)獲得できる唯一の大会なので、獲っておきたいなと思いますね」
リオでの悔しさ。あのせつなさをバネに、2020年の東京へ。

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