ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第120回 特別版 車いすバスケットボール香西宏昭 後編

2018年06月10日 放送

車いすバスケットボール日本代表、香西宏昭。

2020年東京パラリンピックでの金メダル獲得へ、車いすバスケットボール世界最高峰のリーグがあるドイツでその腕を磨き続けている。
そして、4月に挑んだ国内最強を争うトーナメント「ドイツカップ」。
延長戦にもつれ込んだ準決勝。勝負を決めたのは香西選手。
頂点まであと一勝。いざ、運命の決勝へ。
激闘の結果は?
そして日本のエースがドイツで得たモノとは?

ドイツ中部の町・ヴェッツラー。
この町でブンデスリーガ5シーズン目を迎えている香西選手。
笑顔にも余裕が漂う。
ブンデスリーガとは、1970年代に創設された世界最高峰の車いすバスケットボールリーグ。選手のプロ契約化が進み、世界各国の代表クラスが数多く在籍。
そして、香西選手が昨シーズンからプレーしているのがブンデスリーガ優勝13回、ヨーロッパ最強クラブの一つ「ランディル」。
リオパラリンピック金メダルのアメリカ代表選手をはじめ、各国の中心メンバーが顔を揃える中、香西選手はチームの得点源として主軸を担っている。
香西「東京パラリンピックに向かっての準備をより高い、より厳しい環境の中に身を置くことで準備ができるかなというのが僕の考え。練習中からハードでレベルも高い。たくさんの経験を得ていることは大きな収穫」
単身ドイツで、世界の強豪と凌ぎを削る香西選手。
そのストロングポイントが『相手を凌駕する圧倒的なスピード』。
コートに手がつくほどタイヤに長く触ることで力がより伝わり、爆発的な推進力を生み出す。そして、自慢のスピードを武器に日本のエースとして挑んだリオパラリンピック。結果は…まさかの9位。
リオパラリンピック後、更なる進化を求めた香西選手はあるトレーニングを開始。それは…体幹の強化。特に、これまで意識してこなかった下半身を徹底的に鍛えることで、シュート精度の向上、さらに激しい接触にも耐えられる強靭なフィジカルを目指している。
そして、進化を目指すのは肉体だけではない。
香西「リオのパラリンピックの頃は(日本代表では)僕がずっとボールを持って相手のディフェンスを崩しながら藤本選手だったりとか他の選手に得点シーンを作るというのが僕の役割だったんですけど、なので今(ドイツで)やっていることとはほぼ正反対といいますか」
このプレーの違いが香西選手をさらに進化させようとしている。
日本代表での香西選手は攻撃の起点となる不動の司令塔。
相手ディフェンスを崩し味方のゴールを演出するチャンスメークが求められている。一方、ランディルでの役割はシューター。攻撃の要としてより高い得点力が求められる。
そして、ランディルで司令塔を務めるのはキャプテンのマイケル・ペーイ選手。リオパラリンピックでアメリカ代表を金メダルに導いた世界屈指の司令塔。日本代表とは異なるシューターを経験し、プレーの幅を広げ、司令塔の働きを外からチェック、状況判断力を磨いている。
香西「今マイキーから学んでいることっていうのは僕がそのうち日本代表でやるべきこと。なのでこれをしっかりと学んで、活かして、東京の2020年の東京パラリンピックに繋げていくことが僕の使命ですね。」
その進化の片鱗が垣間見えたのが、ドイツ国内64チームが頂点を競い合う世界最高峰トーナメント「ドイツカップ」。
接戦となった準決勝。マイケル選手とのホットラインで得点を量産。そして1点ビハインドで迎えた試合終了間際、決勝点を決めた香西選手。1点差を制し、決勝へとコマを進めた。
そして、運命の決勝戦も見事に勝利。ドイツで掴んだ初のタイトル。2年後の東京へ向け大きな弾みに。

2週間後、千葉県で合宿を行っていたのは車いすバスケ日本代表。
実は大事な戦いを目前に控えていた。三菱電機ワールドチャレンジカップ。世界の強豪を日本に迎えて行われる国際大会、2年後の東京パラリンピックに向け日本代表の実力を確かめる重要な大会。
香西「東京で金メダルを取るっていうのが今の目標ですね。ドイツのカップ戦ですけど金メダルを取るって、やっぱりすごく嬉しいなって思った。もうやっぱり日本代表で負け続けるのは嫌ですし、もうあの悔しい気持ちを味わいたくないというのが一番なので、選手としての目標はやはり金メダルですね。」

単身ドイツで磨いたシューターとしてのスキル。そして世界屈指の司令塔のもとでより研ぎ澄まされた状況判断力。
ドイツカップ制覇という大きな経験を経て、より逞しくなった香西選手。
東京パラリンピックに向け、その挑戦は続く。

  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
  • ©NTV
BS日テレ