ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第118回 柔道 廣瀬順子④

2018年05月27日 放送

柔道 廣瀬順子(ひろせ・じゅんこ)。
2016年のリオで銅メダル。パラリンピック女子柔道で日本初という快挙を成し遂げた彼女には誰にも負けない武器がある。

「パワーに頼らない攻撃柔道」

小柄な体格ながら、次々と技を繰り出し、強靭な相手を圧倒する。
しかし、リオから1年が経った昨年秋の国際大会。
開始9秒。まさかの敗北。
屈辱的な敗戦から6ヶ月。
ワールドカップで日本女子初の金メダルを獲得。
彼女はなにを学び、なにを得たのか。栄光の金メダルへ。その軌跡を辿る。

瀬戸内の海と山に囲まれた、愛媛・松山。
健常者の部員に混じり普段からこの場所で稽古に励んでいる廣瀬選手。
指導しているのはコーチで夫でもある廣瀬悠さん。
自身も視覚障がいがある現役の選手で、北京・リオとパラリンピック2大会に出場した実力者。
夫婦二人三脚で世界の頂点を目指し、日々精進している廣瀬選手。
彼女が柔道を始めたのは、小学5年生のとき。
高校ではインターハイにも出場。しかし大学進学後、膠原病の一種「成人スティル病」を発症。完治したものの両目の視力をほぼ失います。
それでも柔道への情熱は消えることなく、視覚障がい者柔道を始めると・・・
すぐに頭角を現し、数々の国内大会で優勝!
そして25歳で挑んだリオパラリンピックで世界の表彰台に。

廣瀬選手のストロングポイントは「パワーに頼らない攻撃柔道」。
身長157センチ。小柄な廣瀬選手にとって世界の壁を破るのは至難の業。
力で押す外国人選手を克服するには何が大切なのか。次々と技を繰り出し、攻め続ける。そして相手が仕掛けてきた一瞬の隙をつく。これこそが「パワーに頼らない攻撃柔道」。
コーチでもある夫・悠さんの指導のもと、まずは基礎的な体づくりからはじめ、筋力、寝技、スタミナを強化。リオでの銅メダルにつながった。

視覚障がい者柔道は、全盲・弱視などでクラスを分けず、健常者と同様に体重別で試合を行う。異なる点は組み合った状態から試合を始めるところ。そのため、最初の組み手争いが重要。ここで優位に立ち、試合の主導権を握るにはパワーがどうしても必要に。

リオパラリンピックで銅メダルに輝いた廣瀬選手。その後、初めて挑んだ国際大会。リオでメダルを争った選手たちの引退や、階級変更があったため、優勝候補の筆頭は廣瀬選手だったが…。
初戦は、初対決となるウズベキスタンのサマンダロバ選手。
なんと、試合開始わずか9秒で「一本」を取られ敗北。
廣瀬「(開始直後に負けたことは)視覚障がい柔道になってから初めてですね。負け方がすごく悪かったんで帰って1週間すごく落ち込んだんですけど良い意味でプレッシャーが取れたというか新しい気持ちでもう1回柔道に取り組めるようになって、ある意味良い負けだったかなと思ってます」

屈辱の敗北を「良い負け」だと思えるようにしたい。
夫婦での新しい取り組みが始まった。
廣瀬選手の「パワーに頼らない攻撃柔道」を生かすためにも、外国人選手に技をかけさせない防御力が大切。
持ち前の「攻撃柔道」に加え、「防御力」を高めた廣瀬選手。
屈辱の敗戦から半年。満を持して挑んだ先月のワールドカップ。
初戦は強化した「防御力」でポイントを奪われることのなかった廣瀬選手。「技あり」で勝利。
続く、準決勝の相手はウズベキスタンのサマンダロバ選手。
完全に主導権を握った廣瀬選手だったが、相手も粘り、なかなかポイントを奪えない。ゴールデンスコアと呼ばれる延長戦に突入。すると、背負い投げの一本勝ち。
そして決勝はウクライナのホンチャルク選手。
臆することなく、「パワーに頼らない攻撃柔道」で攻め続ける。
廣瀬選手、相手を倒し寝技勝負に持ち込む。1本はならなかったが押さえ込み10秒で「技あり」。試合時間も残りわずか。「技あり」で一歩リードしているが最後まで攻撃の手をゆるめない。そして、背負い投げで「技あり」。
「技あり」ふたつで、合わせ技「一本」。
日本女子柔道初の金メダルを獲得!『パワーに頼らない攻撃柔道』に加え、人生最大の敗北から「防御力」を身につけ、世界のトップに立った廣瀬選手。
廣瀬「今回の試合は、ほとんど背負い投げで勝ったんですけど他の技をほとんどかけれてないので技のバリエーションをもう少し増やしたい。防御もいま身についているものだけじゃなくて、もう少しいろんなことに対応できる防御をしていきたい」
2020年の東京パラリンピックまで、あと2年。
廣瀬「ワールドカップでも初めて金メダルを取ることができたので、2020年も金メダルを取ります!」

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