ストロングポイント

毎週日曜 17:30~18:00放送

放送内容

第115回 パラ卓球 吉田信一②

2018年04月29日 放送

パラ卓球 吉田信一(よしだ しんいち)
リオデジャネイロ・パラリンピック日本代表。
通称・金髪の卓球王、彼には誰にも負けない武器がある。

「変幻自在のラケットさばき」

対戦相手を惑わせる一瞬のワザ。ラケットを反転させボールの回転を変える。
たゆまぬ努力で日々進化する唯一無二のストロングポイント。
立ちはだかるアジアの壁。ライバルに打ち勝つために生み出した秘密兵器…
新たな卓球スタイルとは?
挑戦の日々を追った。

パラ卓球。道具やルールは一般的な卓球とほぼ同じ。
障がいの程度によりクラスが分かれていて1から5が車椅子。6から10は装具を利用する立位。
吉田選手は、腹筋、背筋、両足の感覚がなくクラス3に属する。
出身は福島県。高校生の頃、交通事故で車椅子生活に。卓球と出会ったのは28歳のとき。そして、世界の強豪との戦いの中で生み出したのが、「変幻自在のラケットさばき」。
吉田「卓球のラケットにはラバーの種類がありまして、裏ソフトラバーや、私が使っている粒高ラバー、表ソフトラバーとかもあるんですけど、相手にいかに「いやらしい球」を出すか?緩急をつけたボールを出すか?普段通り打つやり方とラリー中に反転をして相手を惑わせる」
吉田選手はフォアハンド側に粒高ラバーを、バックハンド側には表ソフトを貼っている。大きさが違うことではじき出されるボールは全く異なる。つまり、ラリー中にラケットを反転させれば回転量の異なるボールを瞬時に生み出すことができる。
現在世界ランクは23位、国内ではトップを走り続けている。
しかし、去年のアジア選手権で吉田選手の前に大きな壁が立ちはだかった。
パラリンピック三大会連続金メダル、世界ランク1位、中国のフェン選手。
吉田「全然試合にならなく惨敗でした。回転量も違う、スピードも違うというのは今回身にしみてわかったかな」
このままではいけない…そこで、たどり着いた打開策は…

『ラケットに変化をつけた新たな攻撃スタイル』

吉田「自分の卓球スタイルを変えたいので新しいラケットを作成してもらった。グリップの角度を変えてもらったり、ラバーを変えたり」
改造されたラケットは少し斜めになるよう、グリップに厚みと角度がつけられている。遠くのボールに手を伸ばしても、このラケットならベストな角度で無理なく返球。アジアの壁、スピード攻撃に対抗する心強い味方となる。
そしてもうひとつ、ラバーの変更。
これまで回転に変化がない粒の小さいラバーと、回転に影響を及ぼす粒の大きなラバーを貼っていた。今回はより回転量を上げるため、ラバーを平面に。
しかしこれをものにするには…
吉田「やはり回転量が増している者と練習をしなきゃいけないし試合をしなきゃいけない。自分のクラスよりは一つ上、二つ上の選手と同等に戦わなければ厳しいのかなって思ってます」
今年三月、大阪で行われたジャパンオープン。障がいのクラス分けがない日本一決定戦。新たなスタイルを試したい吉田選手にとっては障がいの軽い選手と戦える格好の舞台。
吉田選手は予選リーグを勝ち進み決勝トーナメントへ。
対するは障がいのクラスが1つ軽い4の選手。
回転重視の新スタイルに馴染んだ吉田選手がパワー全開で勝利。
しかし、続く準決勝で2クラスも障がいが軽いクラス5の選手に敗退。
タイトルまであと一歩、それでも大きな収穫があった。
吉田「自分の中では得たものがあった。ラバーを変えたことによってちょっとづつでもいい方向へ行っているのかなって。まあずっと負けてもいいから自分の弱さをだして2020(東京パラ)は、自分の中でラストステージだと思っているんで卓球を今までしてきたことに対して最後の舞台。そこにその迷いや悔いや、そういったものは残したくない。やり残したことをするのが今年であり、それに対して来年は全力で(東京パラへ)ぶつかってゆく。まず、背水の陣で取り組みたいと思っています」

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