地中海に浮かぶサルデーニャ島。人々が住み始めたのは約4000年前といわれる。セウーロは州都カリアリから北へ約93kmの山岳地帯に位置している。村の経済を支えているのは農業で、穀物、小麦、野菜、ブドウ、オリーブなどが植えられている。その他、山羊、羊、馬の飼育などが行われている。長寿割合が最も高い村のひとつとしても知られ、村では100歳を超えると記念として通りに写真が飾られる。

この村で生まれ、この村で育ったパン職人。若い頃は遊び好きのやんちゃな青年だったが、父の死をきっかけに村に戻り14年前からパン工房を始めた。深夜２時から始まるパン作りは、独自に発酵の仕方を試行錯誤し、今では地域一帯にパンを卸すなど、美味しいと評判である。同じ工房でお菓子を作っている幼馴染とは現在パートナーでもある。子供の頃からお菓子作りが好きだったパートナーは、一時期村の外で働くことを考えていたが、工房に誘われ思いとどまった。セウーロの伝統的な可愛らしいお菓子を焼き上げる日々だ。同じ工房で働きながら仕事の時間がずれているため、すれ違いの毎日を過ごしている。だがお互いを理解し合い尊重することで、とても良い関係を保っている2人の物語。