放送内容

#04 片頭痛 2020.02.02

<今回のテーマ>

日本には、片頭痛で悩む人がおよそ840万人もいるといわれています。
片頭痛で仕事を休んだり、作業効率が落ちたりする人も多く、経済的損失は、3000億円にものぼるといわれているのです。
多くの人が悩む片頭痛ですが、ただの頭痛だと我慢している人も多いのが現状です。
そんな「片頭痛」は、実は薬を正しく使うことでコントロールできる病気になりつつあるのです。
今回は、「片頭痛」治療の最前線に迫ります。

<片頭痛>

三大慢性頭痛と言われるのが、「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」です。
片頭痛は若い女性に多く、主に頭の片側がズキズキ脈打つような痛みが4時間から72時間続く、いわゆる「頭痛持ち」といわれる頭痛で、国内に約840万人いると言われています。
たかが頭痛と思わず、専門医の診断・治療を受けることが大切です。
きちんと薬を服用することで、痛みのコントロールが可能です。

<前兆>

患者さんの中には、閃輝暗点(せんきあんてん)という前兆が起こる人がいます。
突然、視野の中央にギザギザの光が現れ光が大きくなり、視野から消えると片頭痛が起こるというものです。

<メカニズム>

深く関係しているのは、神経伝達物質のひとつ「セロトニン」です。
脳内の血管の周囲には、三叉神経という感覚神経が張り巡らされています。
何らかの原因でセロトニンが減少すると、三叉神経は血管を拡張させる神経伝達物質を放出します。
その結果、周囲の神経を刺激して炎症を起こし、片頭痛が起こると考えられています。
セロトニンが減少する原因ははっきりしませんが、ストレスや疲労、月経周期、天候の変化、臭いなどの影響を受けています。

<子どもの片頭痛>

過去3か月に何らかの頭痛を経験した小中学生は約7割、頭痛で学校を休んだことがある生徒は1割います。
多くの生徒が苦しむ頭痛の理解を深めることが重要です。

<治療>

軽症なら血管の周囲の炎症を抑える、消炎鎮痛剤を服用します。
消炎鎮痛剤でコントロールできない場合は、トリプタン系薬剤も選択肢になります。
トリプタンはセロトニンに似た物質で、減少したセロトニンの代わりに三叉神経に働きかけて興奮を抑えます。
神経伝達物質の放出が抑えられ、血管が元の状態に戻り、鎮痛作用が期待できます。
片頭痛が起きてすぐ服用すると効果が得られやすいなど、服用のタイミングも重要です。
それでも、コントロールが難しい患者さんは存在し、新しい薬の登場が望まれています。

出演者

◆沢田はしもと内科(東京・世田谷区)
 橋本しをり 院長

◆埼玉精神神経センター(さいたま市中央区)    
 丸木雄一 センター長

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