放送内容

2010年7月13日、7月17日放送

 
#7

オルセー美術館展
〜モネ・ゴッホ・ゴーギャン 巨匠たちの名画 奇跡の来日〜

今回は、今年最大の美術展と言われる「オルセー美術館展2010『ポスト印象派』」をぶらぶらします。

パリにはルーブル美術館、オルセー美術館、ポンピドゥー・センターと三つの大きな美術館があり、それぞれ年代ごとに美術作品が収蔵されているんです。中でもオルセー美術館には、印象派など、日本でも人気の高い19世紀の絵画が数多く収蔵されています。そこから115点も日本にやってくるなんて、またとない大チャンス!(理由は美術館の改装のため。「ボストン美術館展」もそうでしたね)
フランスのサルコジ大統領が「これだけの作品が国外に貸し出される事は二度とない」と言ったぐらいですから、見逃す手はありませんね。

ポスト印象派ってなんですか?

これまで「“印象派”は西洋絵画の歴史を変えた」とご紹介してきましたね。
その印象派出現後も現代につながる新たな手法が生まれ続けてきました。それが「ポスト印象派」=印象派の後につづく画家たち、なのです。

印象派をさらに究めようとしたスーラの運命とは・・・

印象派の特徴的な技法のひとつに「点描」があります。
絵具を混ぜて色を作ると濁ってしまう。そこで、いろんな色の小さな点を組み合わせて鮮やかな別の色を作り出す、そんな印刷技術と似た技法が「点描」です。
そして、それを究めようとしたのがスーラでした。

スーラの絵を近くで見ると、ホントに細かい点の組み合わせで描かれているのが分かります。そして、ちょっと離れて見ると、見事に美しい色合いの絵が浮かび上がってきます。しかしまぁ根気のいる描き方ですよね〜。ひょっとしてスーラが若くして亡くなってしまったのは、根を詰めすぎたせいなのかも・・・?

ようやく分かりました!セザンヌの凄さ

セザンヌの絵ってなんだかむずかしいなあ~って思っている方、多いのではないでしょうか?

「写真」の登場は、絵画の在り方を大きく変えました。「リアルさ」という基準だけでは絵の価値が計れなくなったのです。そんな中、「絵はリアルなだけじゃいかん!」と、いろいろ模索していったのがセザンヌでした。

その彼の姿勢を象徴的に示す絵が、静物画。
よーく見ると、いろんなアングルから見て描いた物をひとつの画面に構成してしまうという、まったく新しい手法が使われているんです。「セザンヌってなんか下手かも?」なんて感じてしまうのはそのためだったんですね。
当時も一般人にはあまり理解されず人気はいまひとつだったらしいですが、若い画家たちからは絶賛され、その様子は「セザンヌ礼讃」という絵にまでなっています。 そして、あのピカソもセザンヌの思想を受け継いだひとりなんですよ。

「セザンヌっていいよね!」と言えれば、かなり「通」っぽく見えちゃうかも?

ロートレックが描いた女性たち

ロートレックは大貴族の生まれ。お家もお城で、とてつもないお金持ち。・・・なんですが、パリの歓楽街・モンマルトルにある安宿に住み、踊り子や喜劇役者、娼婦などをモチーフに絵を描くという、一風変わった人でした。
ロートレックの絵はとにかく女性の素顔、とくに気を抜いてるところを描いたものが多いんです。踊り子でも舞台の上で堂々としている姿ではなく、楽屋でだらーっとしている瞬間を描く。だらしなくしている姿を描かれたうえにオルセー美術館に展示されてしまう・・・女性にとってはたまったもんじゃない画家ですね。

明るい光を求めたゴッホの夜景

今回はゴッホやゴーギャンの作品が数多く集まり、目玉のひとつになっています。
明るい色彩の絵を描くために、陽光を求めて南フランスのアルルに移住し、芸術家たちとの共同生活を夢見たゴッホ。結局その計画は上手くいかず、やっと来てくれた唯一の仲間・ゴーギャンともケンカ別れになりました。ついには精神を病み、自らの命を絶つことに・・・

そんなアルルで描かれた作品の中で、一枚だけ夜の風景を描いた作品が展示されています。それが、「星降る夜」。

あたたかな光を放つのは、港の灯とそれを反射する海、そして夜空の星。
一体どんな思いでゴッホはこの絵を描いていたのでしょうか・・・。

天然画家・ルソーの思い込みが生んだ名画

ちょっと不思議な世界観で人気のルソー。日本初上陸という彼の二枚の作品が展示されています。

ルソーという人は、実は素人画家でした。
もともと税関の職員で、40歳を過ぎてから独学で絵画をはじめたのですが、自分では「リアリズムの大画家」と思い込み、何度もサロン(官展)に出品しては落とされる・・・を繰りかえしていた、かなり天然な人物だったそうです。

「リアリズム」どころか、絵に詳しくない人だって、よーく見るとおかしなところがあるのがわかります。でも、そのおかしさが「味」になっているんですね〜。

晩年、ルソーはピカソら若い芸術家たちから「どうもルソーっていう面白い絵を描くじいさんがいるぞ!」と盛り上げられ、注目されるようになったのです。

「元祖ヘタウマ画家」なんて呼んじゃうのは、失礼でしょうか?

 
相沢紗世のラブ♥ラブ♥美術・博物館

今回、私の一番のお気に入りはゴッホの「星降る夜」。これまで見てきたゴッホの作品は、激しいタッチで「なんだか男っぽい作家なんだなー」と思っていました。でも、この絵はとても優しい感じで、大好きな一枚になりました。

今回のおすすめミュージアムグッズ

iPhoneケース

今回来日したモネやゴッホ、ルソーらの名画がプリントされたiPhoneケース。デジタルの美とアナログの美のコラボですね!なんとオルセー美術館の館長さんもご愛用なんだそうです。

 

Information

国立新美術館「オルセー美術館展2010『ポスト印象派』」
8月16日まで開催中

開館時間 10:00〜18:00 (入館は17:30まで)
※会期中の毎週金曜日は20:00まで(入館は19:30まで)
※7月10日(土)〜8月14日(土)の間の土曜日
(7月10日、17日、24日、31日、8月7日、8月14日)と
7月18日(日)は開館時間を午後8時まで延長
休館日 毎週火曜日
(祝日又は振替休日に当たる場合は開館し、翌日休館)
年末年始
入館料 当日券
 一般1500円、大学生1200円、高校生800円
前売り券
 一般1300円、大学生1000円、高校生600
団体券(20名様以上)
 一般1200円、大学生900円、高校生500円
※ 中学生以下無料
※ 7月17日(土)、18日(日)、19日(月・祝)は高校生無料観覧日
場所 東京都港区六本木7−22−2
東京メトロ千代田線乃木坂駅
青山霊園方面改札6出口(美術館直結)
電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
 

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