#75
初回放送:2023年12月17日(日)22:00〜22:54
キャスト
ナレーター(N) / ちふゆ(ネクシード)
ジェニファー・ハットラウフ / 押川 チカ(ネクシード)
サイモン・フェルフォーリャ / 菊池 通武(ケンユウオフィス)
ステファノ・ペーザロ / 野津山幸宏(ステイラック)
放送内容
キンイロジャッカルは東アジアとヨーロッパ南東部バルカン地方の原産です。1980年代後半からヨーロッパの西部と北部へ広がり、現在ヨーロッパ20カ国で観測されています。その理由は冬の雪が減り、夏が暑く乾燥するせいで北上するジャッカルが増えたことが考えられます。しかし一番はその適応力の高さです。彼らはとても賢い動物なのです。昼間は茂みの中に隠れ夜に狩りに出ます。イヌ科の動物で、群れを作ります。広大ななわばりを集団で守り、ほかの動物からの侵入を防衛します。嗅覚は犬よりも優れており、アナグマやキツネの古い巣穴を隠れ家として利用します。
イタリア北部をアドリア海へと流れるタリアメント川の周辺に多くのキンイロジャッカルが住み着いています。1980年代にバルカン半島からやってきてこの地域一帯に散らばりました。彼らには楽園のような土地で食糧は豊富。さらに身を守ったり隠れたりするのにちょうどいい藪や茂みがあることが、数匹に無線機を装着したことで判明しました。しかし生態はまだほとんど分かっておらず調査は始まったばかりです。
カルソ地方の牧場主パオロは羊の群れを飼っていましたが、キンイロジャッカルが羊を襲い始め、それが繰り返しされ50頭を失いました。またハンガリーとオーストリアではキンイロジャッカルが増え続け、集中的な狩りが行われているにも関わらず全体的な個体数に変化がないことが分かりました。繁殖と移住によって同じくらいの数が増えているのです。ウィーンの研究所に勤めるキンイロジャッカル研究の第一人者のジェニファーはこれらの問題にどう対処すべきか考えています。保護しようと頑張っている人もいれば、不安視や怖がる人さえいます。うまくやっていく方法はあるのでしょうか。