シチリアの乾いた大地を、
夏の日差しが照りつけている。
遠くにエトナ火山を望む静かな村。
中世の時代から営まれてきた酪農などが
村人たちの命を繋いできた。

村生まれ村育ち、畑を手伝いながら家事をこなし、自然と触れ合いながら暮らしている主婦。朝8時、水やりから1日が始まる。たくさんの鉢植えを村に飾り、世話をするのが生きがいだ。夫は10年前に退職し、今は畑仕事に専念。普段は寡黙で厳しいが、誰よりも家族を愛している。義理の姉とは、この家に嫁いできて以来、40年一緒に暮らしている。今では実の姉妹のように仲良しだ。元々祖先は、この土地の貴族に使える小作人だったので、自分たちの土地と家を持つことが一族の悲願だった。祖父母の懸命な働きにより少しずつ土地を買い足し、今では様々な農作物を育て自分たちで食べていけるようになった。