南イタリアの高原地帯に築かれた小さな村、
セッラメッザーナ。
その昔、イスラム勢力から逃れてきた修道士たちが
実り多いこの土地にたどり着き村を築いた。
村人たちは代々自然を敬い、寄り添いながら、
つつましく暮らしてきた。

14歳で木工職人の道を選んだ男。賃金は一切いらないと交渉し、20キロ離れた村の親方に弟子入りした。6年間の修業の後、21歳の若さで独立。以来仕事一筋で生きてきた。今では、南イタリア中からの依頼が舞い込む。「まずは基本を覚えろ。」常に大切にしてきた親方の教えだ。もう一人の主人公は、2年前に村に戻ってきた菓子職人。作るのは、祖母や母から教わった村伝統のお菓子。もともと目指していたのは、イタリアで最も権威がある法律家の公証人。シチリアの法律事務所で働きながら、試験を何度も受けたが合格することができず、村に戻ってきた。生まれ育った故郷で新しい夢を見つけ、前を向いている。