ティレニア海に浮かぶエルバ島。
その南西の端にある、背後を山に囲まれた海辺の集落。
大昔からたくさんの花崗岩が産出され、
ローマ時代にはパンテオンやコロッセオの材料として
使われた。
人々は長らく漁業と農業で生きてきたが、
1970年代以降、観光地として
その名が知られるようになり、
夏は多くのバカンス客で賑わう。

小学校を卒業して以来、ブドウ農家をとっくに辞めた今も農作業を続けている96歳の男性。妻は3年前に病気で亡くなり、今は娘たちの助けを借りながら一人暮らしをしている。でも、毎日のように村の広場に出かけては、友人たちとおしゃべりを楽しむ。もう一人は子育てに奮闘しながら、夫の営むホテルとリストランテを毎朝毎晩手伝っている二児の母。この島でしか味わえない自然と安心して暮らせる穏やかな環境の中で、のびのびと育てようと心がけている。一年で一番忙しい夏は、育児と仕事でてんてこ舞いだが、母親の手も借りながら、自分ができることを精一杯、笑顔でやりきるつもりだ。