エミリア・ロマーニャ州。
州境近くの深い山奥にある、こじんまりとした村、
チェリニャーレ。
周りを見渡せば森しかない辺境の地で、
10分も歩けば一周できるほどの小さな村だが、
村人たちは身を寄せ合い日々の暮らしを楽しんでいる。

88歳という年齢だが、今も現役でホテルを経営してるマンマ。客の注文をとったらあとはスタッフに任せて、自分は厨房で寝てしまう。世界で一番穏やかに生きているように見えるが、昔はいろいろあった。46年前に癌で亡くなってしまった夫からホテルを引き継ぎ、持ち前ののんびり気質でゆっくりと頑張ってきたのだ。
もう一人は、30年以上ミラノで暮らしていたが、9年前に夫の退職を機に、生まれ故郷に戻ってきた元美容師。他人のために働くことが好きで、村を歩けば皆にお茶に誘われる人気者。ミラノを離れるときは少し都会暮らしに未練があったが、夫がいてくれさえすれば、どこにいても幸せだ。