イタリア中部の高原地帯。
モリーゼの山奥に佇む小さな村、ヴァストジラルディ。
代々羊飼いを生業としてきた村人たちは、
仕事を求めて国外に出稼ぎに出るようになった。
今は、450人ほどの村人が暮らす静かな村だが、
夏の帰省シーズンには、2000人近い村人が戻り、
活気にあふれる。

村の保育園で働いて40年になるベテラン保育士。9人兄弟の4番目で大家族に囲まれて育った。10代の頃、母親が急死したことで、兄弟は皆バラバラに暮らすことになった。村に一人残ることになり、孤独を抱え、辛い時代を過ごした。そんな時、夫と出会い結婚、二人の娘を授かった。自分の家族を持ったことが、心の空白を埋めてくれたのだ。しかし、その夫が突然亡くなった…。
もう一人は、幼い頃から、左官職人だった父親の後をついて回り、セメントをこね、家が出来上がるのを見るのが大好きな少年だった。35歳の時一念発起し、ずっとやりたかった建築の仕事を始めた。小さな村だから仕事が頻繁にあるわけではない。不安はあるが、結婚5年目にして、念願だった子供も授かった。これからもこの村を離れるつもりはない。実は、将来を見据えて、新しい挑戦も始めたところだ…。